蒔絵と美味しい物と私

新潟県在住アラフォー♀。 蒔絵描き。元DTPデザインしてました。ぽっちゃりアラサーです。日本の歴史ある伝統的な芸術が好きです。

カテゴリ: 蒔絵

作業過程です

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↑下絵を映したものに…

2020-08-29-17-24-46-608
モリっとさせる漆を盛りました

毎日少しずつ行ってもいいのですが
今回は3~4時間集中して一気に盛りました
気づくと首や腰やらが
痛い痛い

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漆って粘り気があるので
絵具のように、サッサか描けないのです
ゆっくりゆっくり
上から下へ一定方向に
筆を走らせないといけないので
せっかちな人は中々ツライ作業

私も段々集中が切れると
荒々しくなってしまう
無意識に早く進めたいと焦るのでしょうね~
急がばまわれ
ゆっくりと落ち着いて描くことで
ふっくらと漆が盛れます

そう思うと手書きって
心情すら現れてしまいますね
そこがまた面白いと思いますし
様々な絵師さんの
成長を見るのも面白い

ちなみに私は昔の自分の描いた物を
見るのが苦手です(←半人前なので当然です 汗)

*****

ちなみにこの段階だと
「蒔絵」というより「漆絵」ですね
蒔いて初めて「蒔絵」になります

作業中って撮影しづらい(忘れる)のですが
今度挑戦してみようと思います~


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仏壇のキャッチコピーは
「家の中の小さなお寺」

歴史的にみると
一般の家に仏壇が広がったのは室町時代
庶民の家まで普及したのは江戸時代だそう
結構最近ですよね~

江戸幕府の宗教政策として
「各家庭は寺院の檀家になれ~!」
と義務付けられて
仏壇はその証として定着してそうです

*****

そんな想いの場所に
描かせていただけるなんて
本当に有難いことだと噛みしめております

IMG_9311 (2)
上が「蓮水」です
ダイナミックで柔らかい葉と
どっしりと鮮やかな花

下の細長いものが「秋草」です
秋の風が吹き抜けるような
細かくて繊細な題材です

*****

IMG_9319 (2)
私を毎度
震え上がらせる「家紋」です
手書きで文様を描く緊張感は
半端じゃないです

*****

IMG_9289 (2)
蓮の葉は、色んな緑を施すことで
リズムを出し、それぞれの個を重んじました
そして花びらが散ることで
儚さ、そして愛しさ美しさが加わった「蓮水」を
描かせていただきました

*****

IMG_20200809_144441
仏壇の「壇」とは
「花壇」や「祭壇」のように
通常より一段高く作った場所、の意味です

仏壇は見上げてお祈りをする場なので
扉の「蓮水」は下から見上げているように
水面部分を大きくとった構図に致しました

ぜひ、仏壇の前に座って見上げていただき
信仰する宗派、故人を供養する、
其々の想いで、手を合わせていただけたらと思います


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蒔絵って
実は色んな種類があるんですよ

デパートの工芸品コーナーで
蒔絵の種類を説明出来たらドヤれます
(そして嫌がられます)

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【消粉蒔絵】
金粉の中でも、1番細かい金粉を使用
ピカピカではなく、艶が消えている状態の蒔絵
(逆に【磨き蒔絵】というピカピカの蒔絵もあります)
↓この家紋の部分です(他の金色は金箔です)(ややこしい画像)
IMG-20200807-WA0003 (2)



【研ぎ出し蒔絵】
金粉を蒔いて漆で塗りつぶして
木炭で研ぎ出す蒔絵
(私はやったことありません…)
↓少し色に深みが出て粋な雰囲気ですよね
makietogidashi
※写真お借りしました



【高蒔絵】
漆を高く盛った、立体感・重厚感がある蒔絵です
漆や金粉を多量に使う上に手間もかかるので
最高級品となります
(逆に盛らない蒔絵を【平蒔絵】といいます)
rakamakie01
※写真お借りしました



実際見ると、なんか違うなーと思うはずです
特に研ぎ出し蒔絵って質感が違うので
どうやって作り出しているのか私も見てみたい!

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さて
世界でも例がない技法の蒔絵
今後の日本でも
継承することができるのか
それとも途絶えるのか…
今が境目な気がします

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「金」は地球上に存在する量が
決まっていて、とにかく貴重
人工的に作り出すことも難しく
今後も価値は上がってくと思われます
それを主に使用する蒔絵はホントに豪華なものです


色あせない「金」の輝きは
一生よりも先、次の代まで残り続けます
家を継ぐという文化も、今や失いつつありますが
親から子に、孫にと
大切に使われるものって
お金では買えない財産ですよね
そのような財産がたくさんある家は
真に豊だなぁと思います

IMG_20200728_141403 (2)
ほっそい、ほっそい筆で描くのですが
筆で書くこと事態に馴れてないので
一本線を引くことすら難儀

少し力を込めてしまうと
線が太くなってしまうので
スッと一気に線を引かないとアカン
ちょっとでも線が迷うと
そのまま出ちゃうという鬼畜ぶり
いや…ムズすぎひん?と
最初のほう絶望してました

とはいえ
「絵」なので正解はありません
すこしイビツでも味といえば味
そこまで緊迫しないのですが
一番イビツになってはいけないのが
「家紋」(ラスボス感)
これは歪みまくって「…味っすね」と
言うわけにはいかない
できるだけ正確に
再現しなければならないので
緊迫の極みです


ただ手書きで正確に記号を描くって
時代に逆行していて面白い
パソコンだったらコピー&ペーストで
3秒で終了ものですから
それを何時間もかけて描く
書き手の技術がふんだんに投影されていて
その時の筆の調子、漆の具合、季節、
乾かした時間…

そしてなにより、書き手が今まで
蒔絵に費やした時間丸見え…なんですよね

*****

ピカソの
ファンから頼まれて30秒で書いた絵を
100万ドルといい
たった30秒で書いた絵を?と怒ったファンに
30年と30秒さ
と言った話

絵の価値は
費やした時間、積み重ねた経験に
作品が宿るのであって
時給という概念はふさわしくない
という事


手書きの価値を今一度
考えていきたい
今日この頃でございます

IMG_20200720_181511 (2)
もくもくと
描いてはいるのですが
上手くいかず

あー!アレをああすれば!
あー!こうするんだった!
これは…どうするんだ?

心の中で大騒ぎして
毎日過ごしております

いちいち上手くいかないところを
見つけては
呆然と立ち尽くす
(↑これを落ち込むともいう)
なのですが
なのですがッ

今はこれが精一杯…(土下座)

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私は今まで他の仕事をしながら
まった~りと蒔絵に携わってしまっていたので
これからは
もう少し蒔絵の時間を増やしていこうと
思っている次第です

細々とこうしたブログなど駆使して
日本独自(←made inJapan)の蒔絵という物を
少しでも多くの日本人に見つけてもらえたら
幸いです

(中国からの技術と思ってる人多いんじゃないデスカ
 漆絵は中国から渡ってきたそうですが
 蒔絵は日本が独自に技術を開発した芸術ナノデスヨ)

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さてさて
まだ終わらぬ作業…
今の自分の精一杯の力で
最後まで全うしようと思います

IMG_20200714_113356 (2)
蒔絵アイテム
真綿さん

これに金粉を付けて
漆絵に蒔きます
今日は新しいのを下したので
真っ白でふわふわで
雲のように可愛かったので
思わずパシャッ

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真綿とはコットンとは違います
着物やお布団の中に入っている
ふかふかのアイツです
(にしても真綿の布団は高額ですね)

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真綿=絹=シルク
皆イコールです

シルクなんて最高の衣料素材ですよね
フォーマルドレスから着物まで
クレオパトラから卑弥呼まで
世界中の女性が魅了されている
あのシルク…を道具として使う蒔絵
なんて贅沢な~

私自身シルクの服なんて
ほとんど持っていないというのに…

今は師匠から譲ってもらったものを
ちまちま使ってますが
無くなったら一体どこで手に入れるべきか
頭を悩ましております

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今のうちにこの
ふわふわに癒されておきます
(もみもみ…)

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